子供との関わり、環境でのストレス対処にNLP
NLPは人と関わる仕事に就く方全般に、とても役に立つスキルと言えるでしょう。NLPの学びは心理関係職以外にも、経営者、人事関係者、そして教師にも広まっています。特に学校教師は生徒のみならず、その保護者や同僚、上長など、いろいろな属性の人たちとコミュニケーションを取らなければならないことを考えると、NLPを学んでおくことで、たくさんの場面で役に立ちます。
教師は時に「聖職」と呼ばれるほどに、信頼され、生徒を導くことが期待される職業です。いかに豊富な知識があっても、教わる側が教師を信頼していないと、教えたことが十分に伝わらないこともあり得ます。信頼される教師には誠実であったり、話が面白かったり、親身であったりと、様々な人がいますが、NLPの技術を使って信頼関係をより強固にすることが可能です。
人が心を開くとき
あなたが信頼する友人と一緒にいるのを想像してみてください。その人と過ごす時はどのような感じがするでしょうか。きっとどちらか一方が話すのではなく、会話のキャッチボールができていて、お互いの話を聞いて、それに対して反応し合ってしているのではないでしょうか。成功したときにはハイタッチを返してくれたり、おもしろい話が出てきたときには一緒に笑ってくれたり、つらい悩みの相談をしたときには、あなたのつらさを同じように体験しているかのような表情をしていませんか。
人が心を開くとき、それは気が合っているときです。この「気が合う」というのは、たとえば相手との会話のペースが合っていることや、話が通じること、表情が似てくること、まとう空気感を共有できていること。そのようなとき、あなたは相手に心を開きます。
相手が心を開き、信頼と安心感をもってあなたと接している状態を心理学の言葉で「ラポール」言います。教師と生徒の関係性に限らず、相手と自分の間にラポールが築けているとコミュニケーションが円滑になり、また、ラポールが築けていないと、どのような言葉もあまり相手に伝わりません。
NLPではこのラポールを、論理的に構築していく技術を学ぶことができます。
耳で「聞く」より、心で「聴く」
ラポールを築くため、さらに身につけていただきたいスキルが「傾聴スキル」です。
来談者中心療法と呼ばれる心理カウンセリングにおいて、相談者に寄り添って話を聴くことを傾聴と呼びますが、相手の視点に立って、気持ちを汲み取りながら注意深く聴くことで、話し手の自己重要感が高まります。「聞く」という漢字に「耳」が入っている一方で、「聴く」という漢字には「耳」、そして「心」が入っているように、傾聴は心から相手の話を聴くことを指します。
人は潜在的に自分の存在を認めてもらいたいという欲求があり、それが満たされることで、肯定的な気持ちになって安心感を抱くことができると言われています。このため、傾聴スキルを身につければ、さらにラポールを強固にすることができるでしょう。
傾聴スキルはNLPで主として学ぶものではありませんが、カウンセリング講座も開催している当スクールでは、希望者には無料でオンライン動画を通して自宅学習をすることができます。また、実践で生かせる傾聴のポイントも、NLP講座の中で学ぶことができます。
先生の心が生徒に伝わる
こんな実験の話があります。
ある学校で、校長先生はクラスを2つの教室に分け、同じ先生に担任を受け持ってもらうことにしました。
校長先生は学期が始まる前に、担任の先生にこう言いました。
「Aクラスは優秀な生徒を集め、Bクラスは問題児を集めた」
そして授業が始まり、担任の先生は責任感をもって分け隔てなく両クラスを指導しました。
さて、学期が終わると、校長先生の言ったとおりに、Aクラスの成績はBクラスの成績よりも優秀という結果となりました。
しかし実は校長先生はAクラスもBクラスも、優秀か問題児かどうかで分けていなかったのです。
この実験では担任の先生はどちらのクラスも分け隔てなく接したつもりでしたが、無意識にAクラスにかけた期待とBクラスにかけた期待に違いがあったことを表しています。
このように、先生が生徒に抱く思いは生徒に伝わっていくものです。そしてこのような思いの部分をコントロールするのはセルフマネジメントの領域です。自分の中の無意識に気づき意識的にコントロールすることで、生徒に対して安定した指導をすることができるようになります。
また、教師という仕事では、生徒の悩みに接することも必要ですが、自分自身の悩みやストレスにも対処してメンタルを安定させていかなければなりません。NLPではこのようなセルフマネジメントやストレスマネジメントに役立つ様々なスキルを学ぶことができます。
生徒を前向きに導くために
生徒から悩みを打ち明けられたときや生徒が普段と少し様子が違うとき、教師は生徒に向き合い、話によく耳を傾け、そして声掛けやケアをする場面があるでしょう。
生徒を勇気づけ、前向きに導いていくためのスキルもNLPで学ぶことができます。
「君にはたくさんのいいところがあることを知っているかい?」
このような声掛けは、知っているかい? と付け加えることによって、知っていても知らずとも、生徒にいいところがあるという前提を無意識のうちに与えることができます。このような話法はNLPの「ミルトンモデル」の一例ですが、生徒に抵抗感を与えずに肯定感や気づきを与えることが可能です。
また、「リフレーミング」という手法を使い、言葉で別の視点を与え、短所を長所と捉えなおすように導くこともできます。例えば注意力が散漫な生徒を頭ごなしに叱るのではなく、いろいろなことに興味を持つ生徒なのだと視点を変えることで、その生徒に対する接し方も変化させることができます。また、自分の欠点に落ち込んでいる生徒を、リフレーミングの言葉を投げかけることによって、欠点を長所と捉えるように誘導することもできます。
教師の考え方に幅が広がれば、生徒や保護者に対する接し方もさらに効果的なものにしていくこともでき、よりよい関係を築いていくことができるのではないでしょうか。
まとめ
今回は教師という職業に焦点を当ててご紹介しましたが、家庭もまた大切な教育現場です。そのため、NLPのスキルは保護者の方にもぜひ身につけていただきたいスキルと言えます。
子どもを勇気づけ、長所を伸ばし、安心感をもてるようにNLPを活用していけば、きっと子どもは伸び伸びと育ち、素晴らしい大人へと成長していくことでしょう。
このようにNLPは人と人が出会うどのような場面においても活用でき、しかも、論理的に構築されたテクニックですので、誰にでも学ぶことができるとても優れたスキルです。ぜひNLPの素晴らしさにふれていただきたいと思います。